三人の写真家を審査員に迎え、東京・品川のソニーシティで審査会を開催。一層レベルアップした応募作品を前に選考は難航。
長時間に及ぶ議論の末、各賞が選ばれました。→第4回スペシャルフォトコンテスト概要はこちら
【PROFILE】写真家 小澤 忠恭
日本大学芸術学部映画学科中退後、写真家篠山紀信氏に師事。「作家の貌」などの人物写真、「ＭＯＭＯＣＯ写真館」などのアイドル写真、旅や料理の写真で、雑誌、CMで活躍。女優写真集、アイドル写真集、料理写真集など100冊近い写真集がある。
今回も面白い試みが相当ありました。みなさん、かなりの実力があります。ただ、もうちょっと自信を持って暴れてもいいかなと思いました。どうもどこかに「いい写真」というものがあってそこに近づこうとしている気配があります。いい写真なんてないんです。あったとしても答えは一個じゃない。写真は趣味なんだから、文法なんかない。逆さに撮ったって誰に迷惑をかけるわけではありません。ところがFacebookに載せようとすると、いいね！をとるために、コンテストに出そうとすると入選するために、自分じゃないことを始めてしまうことがある。そこにとらわれると二流になってしまいます。それは気をつけないといけません。アマチュアというのはみんな「作家」です。好きなものを好きなように撮れば良いわけです。αcafeの皆さんは一流であってほしい。変な言い方ですが、まっすぐ階段を登るように上に行くのではなく、斜め上にトライして欲しい。そうすれば、ある日突然化ける。そこを楽しみにしています。
【PROFILE】写真家 山本 まりこ
日本大学理工学部建築学科卒。インテリア設計の職を経て、フリーに。建築インテリア写真、人物写真などで広告・雑誌などで活動。植田正治写真美術館フォトコンテスト大賞「ぼくのなつやすみ」など受賞多数。
女性部門は全体的に、すごく力強い写真が増えたと思いました。構図なども考え抜かれた作品が多くて、実力が全体的にグッと上がっているのがわかります。使用機種にα7等の上位機種が増えたのも特徴です。ただキレイな写真というだけではなくて、その人の温かい気持ちとか、旅をしたい気持ちとか、撮り手の気持ちが私の心とシンクロしたものを選びました。エントリー部門は、撮りたいという気持ちが伝わってくる写真が多かったと思います。応募者のみなさんは、伸びしろがいっぱいあります。これからも、人の写真や映画や絵を見たりして、自分の「引き出し」を増やしていくとさらに楽しくなると思います。ソニーをはじめいろいろなレッスン等に参加すると先生も長年の技をギュッと濃縮して教えてくれますし、撮りたい気持ちに技術も伴って、もっともっと素敵な瞬間を撮ることができるんじゃないでしょうか。気持ちが伝わってくる「あなたにしか撮れない写真」にこれからも出会いたいと思います。
【PROFILE】写真家 福田 健太郎
風景写真家。1973年生。写真家・竹内敏信氏のアシスタントを経てフリーに。日本を主なフィールドに、「森は魚を育てる」をキーワードに生命の循環を見つめ続けている。『朝日・夕日撮影完全攻略』（ともに学習研究社）など、著書多数。
応募作品はバラエティに富んでいましたね。自然の美しい風景、身近な世界、海外もあり日本もあり。カメラの進歩によって撮りやすくなった、朝夕や夜の写真が増えたことも印象に残りました。レベルが高い方が多いので、さらに自信を持って撮っていただきたいと思います。他の人の写真を見て、その風景を自分も撮りたいということも楽しんでほしいですし、身近な風景でも遠くに出かけても、ご自分だけが感じたものを大切に持って、自分の写真ってなんだろうと考えながら撮り進めていくのもいいんじゃないでしょうか。写真もやはり最初は人の真似から始まりますが、そこをすでに卒業している人が相当数見受けられます。その先は難しいところへ行きますが、やりがいがありますので、存分に楽しみながら自分の写真を見つけていただければと思います。個人的には薄暮や夜のほかに昼間の風景ももっと見たいと思いました。日中の光ならではの情景に感じるものがあると思いますので、これはぜひ次回に期待したいです。
