これは景色としては本当に何気ない景色です。普通ならこの景色に心が動かされることはあまりないと思うんです。被写体に心が動いたんじゃなくて「こういう景色を撮りたい」と、この人の撮りたい気持ちがすごく動いたんだと思います。それが写真に出ています。雪にフラッシュを当てて光らせて撮っているんですが、そのことにそんなに慣れてはいないと思うんです。でもとてもキレイな雪の景色を撮れている。このぐらい雪を写すには、結構たくさん降っていないとこうならないし、人が歩いていてもそこに雪が重なっちゃうとか、難しいんですよ。雪の日で寒いのに、すごく「撮りにいってる」写真です。そこが私の心に浸透しました。寒いけどとても熱い心を感じた写真です。(山本まりこ)
すごくキレイですよね。見たことのない景色です。タイトルが「遭遇」。場所はどこかわかりませんが、鹿がこんな風に歩いている瞬間に出会うことはまずないのではないかと思います。だから「遭遇」なのでしょう。湿原を歩く鹿たちが、まるで水の上を歩いているみたいに見える、不思議な写真です。作者がカメラを持ってこの場所にウキウキしながら出かけていって、本当に遭遇した!という驚きや感動が伝わってくる、美しい写真だと思います。子鹿もいたりして、とても可愛らしい。これはもう、旅に出て撮りにいったという行動力の勝利です。(山本まりこ)
子どもの写真はいっぱいあったんですけれども、これは本当にいい瞬間だなと思いました。作者はたぶんお父さんかお母さんだと思うんですけれども、我が子がかわいい、という思いが伝わってくる写真です。夕日のころでしょうか。強い半逆光で花が輝いています。ピントがお子さんの目ではなく花に合っているのが少し残念ですが、全体的に温かい写真です。つぼみを持っている手がかわいいですね。振り返っているのは、だれかに呼ばれたのでしょうか。この子の心が動いた瞬間なのだと思います。とても目を引く写真でした。(山本まりこ)