「キレイですね」だけじゃなく「あっオレもそれ見たかったな」「そこに行ったらそんなの見られるのか」って思わせる写真があります。それは写真の持つ力の一つで、これはそうした瞬間を逃さず撮っています。寄り過ぎないことで周囲の気配がいっぱい写っているのがいい。例えばこれは雪かな、そうするとこの動物の足もとは冷たいのかな、などということも写ってくる。寄らないことによる力の強さ。応募作品にアップが多いなかで引き立っていました。寄れるものなら寄りたいのはわかりますが、冷静に引いた状態のも撮る。そういう意味でいい作品です。(小澤忠恭)
日常すごく見ているものを写真は止めてさらにじっと見ることができる。子どもはすぐ違う顔をするからここまでまじまじと見られないものです。それを真っすぐに正直に向き合って撮った。そこを評価します。この子はどんな大人になるんだろうとか思ってしまう。作者が見る人に何かを思わせてやろうとか、テクニックで俺を出してやろうとかしていないから、かえって強い何かを思わせるし、作者も出てくるんです。構図的にちょっと真ん中すぎで、ポートレートとしてはもう少し上を切ることが多いんだけど、この場合はこの子に実際に会っているようかのような生っぽい感じがして良い結果になっています。(小澤忠恭)
人物写真にもいろんな撮りかたがあって、これは外国人なんかがよくやる、ファインアートになっている作品ですね。僕はこれ好きなので入れました。ライティングしているわけじゃなくて、その場の色と光、そういうことによく気がついている作者だと思います。人を撮るといってもスナップに近い「出会って撮る」写真ですね。人間なのに彫刻みたいで、こういうアート作品として展示していたとしても有り得る。そう思わせるぐらい、ファインアートとしての人物写真になっています。(小澤忠恭)
よくこんな写真撮ったよねえ。感心します。こんなのが撮れたらいいなと思う人はいても、なかなか実現できないよね。例えば僕が何か思いついたとしたら、日本中で百人ぐらいは同じことを思いついているんです。でも思いついてもやらない人が98人ぐらいいる。2人ぐらいがやってみるんです。そうなれば勝ったも同然。この人はそっち側の人なんです。いい顔して跳んでるね。こういう形の気球みたい。これが動物写真かというと違うかもしれないけど(笑)。面白さ抜群です。(小澤忠恭)