観る者の心の隅を刺激する作品で、見事に魅せられました。雲間から降り注ぐ黄金色の光と空がきれいです、木々の奥に巨大な橋があります、という表面的な風景の素晴らしさに惹かれただけではなく、自然のなかに忽然と現れる建造物を小さく写し込むことで、やはり人を感じるのです。ただし、この作品からは人の姿が見えてこない、、、。異空間に誘われたような錯覚に陥ります。タイトルから考察すると、作者の意図と異なる読み方をしていますが、それも写真の面白さかなと思いました。(福田健太郎)
普通は人物の視線の先を開けますが、この場合は視線の先が詰まっていても気になりません。それはこの背景がいいから。左側で市場らしき風景を見せていることが無駄になっていない。市場に座っている人はこのように道行く人を見ていたりするものです。だからこの場合の視線はこう向いているのがセオリーで、視線の先を詰めたことで写真が強くなっています。(小澤忠恭)
普通はこの橋の中心をアップにしてしまいますが、あえて引いて周囲の雰囲気を写しています。橋の中心に木を重ねてわざと見せていない。これで見る人の頭のなかにストーリーができるのだと思います。雨上がりの水滴や濡れた地面も手前に入れて、画面が多層構造になっています。(山本まりこ)