バラの香りが漂ってくるような、とても女性らしい視点で撮られていると思いました。カラーを調整していますね。ホワイトバランスを調整してマゼンタをプラスにし、彩度を上げていると思うのですが、この色あいも、とても女性らしくていいですね。気になると言えば、主役である花が手前の花のぼけで消されてしまっている。これがもう少しズレて主役の首まで見えている状態が本当はベストかなと思います。でも全体的な統一感が良かったので選びました。こういう風に色を調整できるのはデジタルの良さ。男性はなかなかこういう遊びはしないんじゃないかと思いますが、現代の写真はこうあってもいいんだと思います。(山本まりこ)
一見、やや抽象的でよくわからなかったのですが、タイトルを見て「ほう」と思ってじっくり見入ってしまった作品です。懐かしい場所ということですが、撮った方の思い出の場所なのか、それとも被写体の思い出の場所なのか、それとも両者の思い出の場所なのか、いろいろストーリーが描けて、映画ができそうです(笑)。この手前に大きく空いている余白によって、映画のワンシーンのように仕上がっているのでしょう。かかとのところは飛び過ぎているのがちょっと気になりますが、手前のトーンに合わせたらこうなったので、これでいいと思います。それにしてもこれはどこですかね?誰なんでしょうか。想像が広がってきますね(山本まりこ)
審査員講評
写真が並んでいるなかでパッと目に入ってきて、「これだな」と。見ただけで愛があふれてくる。撮っているのはお母さんなのだと思います。よく見ると手や袖に泥がついていて、必死になってドングリを探して見せにきたという光景が流れ出てくる感じが素晴らしい。走ってくる途中で流れた髪もそのまま。それがまた躍動感になってます。こっちから髪が口にも入ってるし(笑)。本当に見せたい瞬間だったんだなとわかります。お母さんも、すごく撮りたかった。見せたい、見たい、撮りたい、という思いがすごく伝わってくる写真だなと思います。構成も上手で、上の視線から撮ることで背景が枯れ葉に統一されています。また、頭を少し切っているのですが、いい切り具合ですね。ピントはドングリに合っています。普通は目なのでしょうが、この写真では、見せたかったドングリと指先に合っているのが、これでいいと思います。とってもかわいいですね。(山本まりこ)