JUDGE 審査員
航空写真家
伊藤 久巳
Hisami Ito
プロフィール1958年、東京生まれ。航空写真家。学生時代から撮影の仕事に携わり、1983年に伊藤久巳写真事務所設立。旅客機の機内取材から戦闘機の空撮まで軍民航空業界のあらゆる分野を撮影、取材し、航空雑誌のほか航空会社、航空機メーカー、空港会社の広告に写真を提供。写真集「伊藤久巳×飛行機力」(イカロス出版)、「さよなら日本のジャンボ」(ネコパブリッシング)など著書多数。公益社団法人日本写真家協会会員。日本航空写真家協会会員。
コメント多くの飛行機は、エンジンによる推力や翼による揚力を得て、地球の重力にさからって空へと飛び立ちます。その時の飛行機たちの表情は、離陸するために懸命です。これに対して、空中の飛行機は優雅な表情を見せる一方、着陸してくる飛行機は滑走路上でストップするべく、慎重な表情をしています。空飛ぶ飛行機ではあってもただの機械、ただの物体ですが、シチュエーションごとに大きく表情を変えるのも事実です。そんな表情を写し取ってみてください。そんな飛行機を包んでいる自然や自然現象を写し込むのもいいでしょう。飛行機の迫力や綺麗さというものを感じながら撮影した1枚をお待ちしております。
伊藤久巳氏が想う
素敵な航空機写真とは
ソニーの写真投稿サイト
「αcafe」作品よりピックアップ
- 夜空にシュワッチ!!
- 夜、旅客機が着陸してくるところを高感度設定でしっかりと写し止め、クロスフィルターを効果的に使いました。ISO20000という高感度ながら、画面はそれをほとんど感じさせないところに感心しました。垂直尾翼や水平尾翼が切れていますが、そんなのはぜんぜんかまいません。機首やエンジンが強調されていてかえってよかったかもしれません。コクピットの窓は写っていませんが、着陸前の慎重な表情をしていることでしょう。写真の中の飛行機は止まっていますが、この作品からは音も空気の流れも伝わってきます。頭上を降りていく機体の迫力が再現されているからです。迫力は飛行機写真が求めるべき道の重要な要素ですが、これはそのとおりの作品です。
- こうのとり宇宙へ
- 種子島宇宙センターからH-2Bロケットが打ち上げられました。点火した炎は周囲や海面にオレンジ色に反射し、ロケットは宇宙を目指します。軌道を計算されたとおりの美しい曲線を描きます。フレームの中にはロケットそのものの姿は見えません。ところが、その軌道を写し込むだけで、大胆にして精緻なロケットの世界が余すところなく表現されているのです。これは、飛行機写真では必ずしも飛行機などのそのものの姿は必要がないことの証明です。飛ぶものの世界では、飛ぶことを表現できれば手段は何でもいいのです。ロケットの大きな姿はここになくても、この作品を見る誰もがロケットを頭の中に想像できているすばらしい作品になりました。