これは相当高いところから撮影していますよね。夕方か朝方かよくわかりませんが、湧き上がる雲海が街を飲み込む、壮大なスケールの作品です。雲海のディテールであったり、都市の緻密な風景、街灯りなんかもシャープですし、緊張感を漂わせています。時間帯による効果なのでしょう、全体が青っぽい世界に包まれているので、そこが味わいを一層高めています。(福田健太郎)
誰しもが出会いたい、焼けた空の色ですね。なかなかこういう条件に恵まれることはないんですよね。でもその千載一遇のチャンスに巡り遭っています。太陽が山に隠れていながら、上空の雲を染め上げている。ドラマチックな光景を素直に写したな、と思います。色合いや露出のコントロールも的確で、立体感ある空の姿を再現したのは、どういう風に撮ろうかというイメージがしっかり確立されていて、しっかりカメラを操作した技術の高さも感じさせます。(福田健太郎)
審査員講評
不思議な力を持った作品です。人の輪郭を浮かび上がらせ、その影のなかから見えてくるのは直線が交わり構成された無機質な建物のなか。どこか機械的で冷たく、心の闇を突いた印象です。見るものの脳を刺激する映像美は揺るぎがなく吸い込まれ、ありのままの自然風景を素直に見つめるのとは違い、カメラによって生成された風景を複雑に絡ませ、自己のイメージした追求した世界が表れています。(福田健太郎)