星空フォトコンテスト2019 結果発表

地上に広がる人工の光の海と星々の軌跡が見事に融合したスペクタクルな作品です。明るい人工光に負けてしまう星の光も、今日の比較明合成という撮影手法でその存在を明確に再現できます。悠久の時間変わらぬ輝きを保ち続けてきた星々が描き出したほんの1時間ほどの軌跡。その中に精一杯の輝きをみせる人々の営みの光は、ある意味とてもはかない感じさえ伝えているようです。人工光と星々の光を遮る雪を冠した山々の存在も素晴らしい。

アフリカのナミブ砂漠、圧倒的な環境で眺めた南天の天の川とナミブ砂漠を象徴する景観の競演です。とにかくナチュラルな表現にしてその絶景がひしひしと伝わってきます。まるで天の川の星明かりによって地上風景が照らされているかのような地上のディティールも素晴らしいです。大きな画面で拝見してもその鋭い星の輝きは失われません。静寂の中でおそらくさまざまな思いが頭の中を駆け巡ったでしょう。この写真からもその恩恵は感じられました。

じつは、本作品は昨年も応募されたものでしたが、今回はその表現方法が異なっていました。昨年の応募作品は非常に暗く主題がよく伝わりませんでした。写真の後処理で伝わるものが全く変わってくると言うことが分かります。とにかく一見してその雰囲気がとても素晴らしく感じられました。タイトルもすばらしい！低空のもやが幻想的なイメージを醸し出し、二人だけの空間を効果的に演出してくれたといえるでしょう。

作者の演出によるものなのか偶然に遭遇したシーンなのか、いずれにしても、星空と地上のシーンの双方が融合して思わず見入ってしまうような雰囲気を作り上げています。星空はナチュラルで肉眼のイメージに近く、地上の部分はかなりレベルを持ち上げているようですが、それによって表現されたカオス的なディティールが効果的に感じます。小さな存在と言うよりは、私達が広大な宇宙の一員であることを強く感じさせてくれます。