JUDGE REVIEW 審査講評
写真家
並木 隆
Takashi Namiki
テーマが「花」という以外、なんの制約もないコンテストだったので、花そのものだけでなく風景、お子さんやペット、ポートレートを絡めたものまで多岐に渡るバリエーションの作品を目にすることができました。
改めて写真表現の奥深さ、被写体の捉え方に多くの刺激と感銘を受けました。それだけに、入賞作品が3点と狭き門を決定する審査は予想以上に非常に難しく、心の痛む作業でもありました。
最終的には光の使い方やフレーミング、ピント位置など細かな部分を見ていきました。特に花風景はピント位置が中央や遠景に合わせ、手前の花々が中途半端にぼけているものが多かったですね。もっと絞り込めば、もう少しピント位置を手前にして被写界深度のコントロールがしっかりできていればと、惜しいと思う作品が多かったです。
フレーミングも日の丸が多く、被写体以外の空間を生かしきれていない作品が目立ちました。日の丸がいけないわけではなく、端に寄せなきゃいけないわけでもありません。しかし、空間も作品の雰囲気を盛り上げる立派な脇役。被写体の配置次第で印象が大きく変わってきます。そのあたりの気配りができるようになるとみなさんの作品はもっとレベルアップすると思います。
これからも先入観にとらわれず、花撮影を楽しんでほしいと思います。
この花の名前の由来でもある、白鷺が飛んでいる姿を連想させる下からのアングルでレンズを向けているところが素晴らしい。本当に飛んでいるようにみえますものね。強い光源と重ねてドラマチックな雰囲気に仕上げるだけでなく、このキラキラしたボケが被写体を盛り上げるすごくいいアクセントになっています。通常、花の向いている方向に空間を空けるのがセオリーですが、あえてこのボケをいかすためにセオリーから外したところがいい。型にはまらない、自由でありがならコンセプトがしっかりしているからこそ生まれた作品と言えるでしょう。