JUDGE REVIEW 審査講評
動物写真家
小原 玲
Rei Ohara
素晴らしい力作が多くあり、選ぶのにとても苦労しました。鳥の写真というと、図鑑のような写真が多かった時代も過去にあり、それをお手本としてしまう方々も以前は多かったのですが、カメラのAF性能が向上し、ミラーレスカメラの登場で機材が軽くなり、より自由な鳥の写真が増えてきているなあと思って見ていました。
特に今回はただ鳥をアップでシャープに写しただけのものではなく、「鳥と環境」を美しく写したものを評価しました。センサー性能が良くなったことから、点景の鳥もきちんと解像でき、小さく撮っても「絵になる」ようになったことも大きいのかと思います。
野鳥写真家
山田 芳文
Yoshifumi Yamada
前回を超えるたくさんのご応募をいただきました。そして、皆さん力作揃いだったので、楽しく拝見させていただきました。ありがとうございます。
演出が疑われるような、いわゆるやらせの写真、過剰なトリミングによって画像が崩壊してしまった写真、鳥を誘引するためにおいた餌が丸見えの写真、これらの写真は前回少なくありませんでしたが、今回は非常に少なくなりました。とてもいいことだと思っています。
審査の基準は、①表現力(撮った写真で何を伝えるのか)②静止画の土台となるスキル(合わせるべきところにピントを合わせて、ブレないように撮る)③画面構成力④ライティング④被写体に対する愛と知識、の4つを中心にして見させていただきました。
入賞していない作品にも素晴らしいものがたくさんあり、心苦しく思っていますが、入賞作品のコメントを参考にしていただき、これからも皆様に野鳥写真の創作活動を続けていただきたいと思っています。
「胡粉色」とはまた難しい色の名前をご存知で。少し黄みがかかった白色のことですね。そのお花畑を綺麗にボカした背景にして、美しく飛ぶノビタキを捉えています。鳥は後ろ向きの写真ですが、なんか物語が感じられますね。鳥の写真は前か横から撮るという固定観念からは脱却できているのもいいです。ピント、絞りの選択、露出などなど撮影方法も完璧です。そして、とても美しく、いつまでも見ていられる写真です。