ソニーオープンフォトコン 野鳥フォトコンテスト2019 結果発表

「胡粉色」とはまた難しい色の名前をご存知で。少し黄みがかかった白色のことですね。そのお花畑を綺麗にボカした背景にして、美しく飛ぶノビタキを捉えています。鳥は後ろ向きの写真ですが、なんか物語が感じられますね。鳥の写真は前か横から撮るという固定観念からは脱却できているのもいいです。ピント、絞りの選択、露出などなど撮影方法も完璧です。そして、とても美しく、いつまでも見ていられる写真です。

最適なシャッタースピードで撮影されているので、ノビタキの目は止まり、翼の先端は少し流れています。これによって、静と動が対比され、静止画ならではの動感表現となりました。また、ノビタキの面積配分もちょうどいいので、オープンスペースに生息していることが写真を見る人に伝わります。ライティングがフラットなので、メリハリをつけにくくなりがちですが、画面右上の色彩のアクセントが効果的で、変化がつきました。

多くの応募作品を見ていると、その中で個性的ながらも「自分の表現」を持っている写真に出会うと嬉しくなります。この写真の縦位置構図はとても独創的で、また作者が評点したかった「やわらかな春」という表現にとても合っています。メジロと花の写真は多く、他にも綺麗な写真が色々とあったのですが、その中ではお手本のような撮り方の写真ではなく、自分独自の表現を見つけているところを高く評価しました。

サンコウチョウという鳥を知らない人がこの写真を見ても、秋や冬に撮られた写真ではないことがわかり、季節感のあるいい作品だと思いました。タイトルにもあるように「ホイホイホイ」というサンコウチョウの歌声が画面の右の外へフェードアウトしていくような感じがして、写っていない右側の外の世界を想像させるような物語があります。背景のグリーンも濃淡があって変化がつきました。

荒波の海の上を飛ぶコミミズクを見事にシャープに捉えています。α7RⅢの高速AFと高解像力をしっかり活かして撮られています。飛んでいる鳥にしっかりAFを追随させることは、以前のミラーレスカメラでは厳しかったのですが、今のαなら可能ですね。コミミズクは人気の被写体ですが、この写真はとても素晴らしい環境での撮影でしたね。作品としては高画素を利用して、すこしトリミングした方がより強い写真になったかも知れません。

コミミズクの視線が波を見ているようで、写真を見る側はこの世界に引き込まれます。右下の黒の配分もちょうどよく、画面の引き締めに効いています。また、AFで撮られたと仮定すると、ピントが波に持っていかれずに、コミミズクの目に合ったのはカメラのAF精度にもよるのだと思います。ダイナミックレンジが広いα7RⅢで撮ったので、空の微妙なトーンをなめらかに再現することができました。